固定残業制(定額残業制)のワナ

残業代の一定化は経営者にとって安定経営のための課題となります。よく経営者の方から、「うちは業務手当に残業代を含んでいるので残業代は払っていないよ」という話を聞きます。長らく最高裁の判例はありませんでしたが、現在裁判所は以下の判断をしているようです。

 

手当てを残業に含む際の要件(平成24年3月 最高裁判例より)

 

  1. その旨が雇用契約上も明確にされていなければならないと同時に
  2. 支給時に支給対象の時間外労働の時間数と残業手当の額が労働者に明示されていなければならないであろう。
  3. さらには10時間を超えて残業が行われた場合には当然その所定の支給日に別途上乗せして残業手当を支給する旨もあらかじめ明らかにされていなければならないと解すべきと思われる。

 

つまり、固定残業制をとる際には

  • 基本給と残業手当分は雇用契約上(労働条件通知上)明確にしていること。(手当ての名称は基本的には問わない)
  • 支給時に時間外労働の時間数と手当金額を明確にすること。
    •  →給与明細上分計&掲載すること。(時間数&金額)
    •  →それによって基本給と手当てを明確にわけること。
  • 固定時間数を超えた場合の精算を明らかにすること。が求められます。

 

PointとTips 【社労士がいいたい!】

 上記の要件をきちんと満たさない場合は、基本給+○○手当ては、法定労働時間内の賃金とみなされて思わぬ時間外労働の金額を労働者から請求される可能性があります。

 特に、退職した社員でも2年間は請求する権利があります。思わぬ未払い残業の請求にならないよう、給与規定・就業規則のチェックをお勧めします。

 

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